邦秋の、ギャラリー「個と場」

宮崎在住のランチタイムミュージシャン、邦秋(くにあき)の頭の中。アイデア備忘録・雑感・お役立ち情報から創作活動(音楽・歌詞・散文詩等)の展示・解説まで幅広く。関心事:DTM・音楽・ロゴ・デザイン・教育・APPLE・効率化他

20240224 9th EP「キユウカイ」ライナーノーツ

以前からSNS等でお知らせをしておりましたが、私邦秋は2024年2月を一つの節目として、制作・創作活動を引退することといたしました。

 

最後の作品となる音楽EPのタイトルは、「キユウカイ」。

 

少し不思議なタイトルですが、「キユウ」とは…

  • 「9」枚目のキユウ

  • 序破急のキユウ
  • 「引退なんて、心配しなくてもさほど誰も気に留めてないよ」の杞憂のキユウ
  • 終わりの合図、cueのキユウ

という意味を込めてみました。

 

そして、続く「カイ」は、「海」。

6篇全てにおいて海にまつわる言葉が含まれています。

この作品から、海をテーマにした1st EPの1曲目「孤高につき、光を生み、」へと回帰し、私の作品群の輪廻を図りました。

 

そうして、「キユウ」と「カイ」を足して「キユウカイ」と名付けたのですが、これを「休会」と読むこともできますし、「9回」と読めば野球のラストイニングとも捉え得り、奇しくも複合的に意味が繋がりました。

 

そんな、テーマを掲げて制作した完全書き下ろし新曲の6作。少しずつコメントを添えさせていただきます。

 

 

1. ありがとう、やさしい世界 feat. U'En

前作は、歌詞のないインスト作品から始まりましたので、今回は前奏からがっつりロックな曲で幕開けを飾りたいという構想がありました。

そのイメージを200%のクオリティで再現してくださったのが、前作でも「I Don't Care」で参加してくださったギタリストのU'En様。

今回は、私がお送りしたデモに対して、U'En様がコード進行等を見直した上で、ゼロから打合せ用デモを作ってくださり、当方の希望を汲んでいただきながら、丁寧に仕上げていただきました。

もはやコラボレーションというよりも、コンサルタントという立ち位置でいていただいたように感じます。

この制作期間を通じて、U'En様から「音楽の同志」という言葉もいただける等、思い出深く大切な一曲として完成しました。

ありがとう、優しい世界 (feat. uen)

ありがとう、優しい世界 (feat. uen)

  • 邦秋
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 


 

2. カウントダウン2023 feat. 飛行弱者

シンプルでリズムのかっこいいロック曲を作りたいと思い、冒頭のシンバルから始まるドラムパートだけを作った後、なかなか曲の全体像を創り上げられず、デモ曲の完成までかなり時間を要した曲です。

ようやく方向性が見えてからは、歌詞のテーマとして「変化」「激変」「不安定」等が思い浮かび、同時期に音楽活動の休止の検討に入り始めたので、それらをひっくるめた内容にしてみました。

ギターは、3回目のコラボをしていただいた飛行弱者様。毎回、曲に合わせて違うアプローチで演奏を提案してくださり、この曲で再現したかった「ヒリヒリ感」的なものを際立たせてくださいました。

カウントダウン2023 (feat. 飛行弱者)

カウントダウン2023 (feat. 飛行弱者)

  • 邦秋
  • ロック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 

3. 叶いの岬 feat. MiNA

今作一番の変化球曲と思っています。

楽曲の制作を進めていくうちに、「一曲、熱唱できる作品を作ってみたい」と思い、そのイメージを模索していった先に「演歌」という答えに辿り着きました。

演歌の神髄を理解していない私にとっては、「演歌風の曲」と表現した方が適切なのかもしれません。

歌詞も、「演歌といえばご当地ソング」という思いから、地元宮崎のとある地域を舞台にしました。但し、歌詞の内容が暗くなってしまったので、その地域にご迷惑が掛からないよう、敢えて地名は伏せています。(笑)

ギターは、YouTubeにアップされていた「津軽海峡・冬景色 メタルアレンジ」を拝聴して一耳惚れしたMiNA様。突然のご連絡だったにも関わらず、少ないDMのやりとりの後、いきなりデモ演奏を送ってくださり大変驚きました。


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あまり細かなリクエストはしていなかったはずなのですが、理想とする演歌ロックを再現してくださり感激した私。ぜひ和×ロックのかっこよさをお楽しみいただければ思います。

叶いの岬 (feat. Mina)

叶いの岬 (feat. Mina)

  • 邦秋
  • ロック
  • ¥153
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4. インディビジブル feat. 宙弥~GT/Hiro~ (From廃棄猫~すてねこ~)

時々、「他のどの作品にも似ていない自分だけの作品を創りたい」と思うことがあります。

もちろん全てオリジナル曲は自分だけの作品なのですが、曲の構成や雰囲気は、自分の聴いてきた様々な楽曲から無意識にインスピレーションを受けているはずです。

そういったところから逸脱した、「個性の際立った作品」を残したくなるのは、下手なりにも音楽という表現活動を行ってきた者の気概みたいなものでしょうか。

以前、そのことを敢えて強く意識して生み出したのが、6th EP「ファッションショウ 破壊盤」に収録した「a(1nth)?」という作品。

そして、この「インディビジブル」で、何からも解放された作品を久しぶりに作り上げることができました。

今回は、以前からYouTubeで勝手ながら応援させていただいていたバンド「廃棄猫~すてねこ」のギタリスト宙弥(ひろみ)様にお声掛けさせていただき、この変拍子で取っ付きにくいと感じられる作品に、渾身の演奏でアンサーを返してくださいました。

しかも、ベースまで弾いてくださるというまさかのサプライズまで。

さらに、この曲が完成した際、もう一つの夢であった、自分の楽曲を自分以外の方に歌っていただくという欲が高まりまして、こちらも以前からファンを公言させていただいていたボーカリストSEI様にご相談したところ、お引き受けいただくこととなりました。

あまりの嬉しさに、もはや人生の全ての幸運を使い果たしたと思ったほど。SEI様のボーカルは繊細かつアグレッシブで、そのかっこよさは随一。MVも撮り下ろしてくださり、本当に贅沢な経験をさせていただきました。

さらに、その後宙弥様にもインストカバーをしていただき、もはや自分だけの作品ではなくなった大切な一曲です。


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インディビジブル (feat. hiro)

インディビジブル (feat. hiro)

  • 邦秋
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  • ¥153
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5. 結局、独りよがり。 feat. masaru,

この曲ができた経緯は、7th EP収録の「花のように」と全く同じで、他5曲の完成後、全体的にガッツリ系の作品が揃った中で、一旦クールダウンを図るための箸休め曲として意識的に書いた脱・ロック曲。

音楽理論のわからない私は、普段打ち込みのドラムとベースラインから歌を作り始めるのですが、本作を創る頃には既に音楽活動引退が視野に入っていたので、「今まで避けてきたベタなことをかじってみよう」ということで、いわゆる「丸サ進行」を採用しました。

メロディが出来上がった時点で、このギターは以前も共作をお願いしたmasaru,様にピッタリだと勝手に予想。3度目のオファーを差し上げたところ快諾いただき、期待をゆうに超える絶妙な世界観で楽曲を彩っていただきました。

4曲目までガッツリロックで走り続けての、本作。いい緩急だと思いませんか?

結局、独りよがり。 (feat. Masaru)

結局、独りよがり。 (feat. Masaru)

  • 邦秋
  • ロック
  • ¥153
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6. 英雄の旅立ちに feat. NAOYA

本EPの中では断然一番古い曲。

アニメのオープニングのような曲を歌ってみたいという思いで、あまりアニメを見ない私がそ勝手なイメージで持って創ってみました。

音楽引退を宣言しているEPの、さらに最後の曲ということで、このタイトルの「英雄」が私自身を指すと誤解されるのでは、とかなりヒヤヒヤしています。というのも、本作は前述の通りかなり前、すなわち音楽活動の引退を少しも考えていない頃に書いた作品だからです。

この歌詞のテーマは、2つのテーマを融合して書いているのですが、そのうち一方については、きっと説明を聞かれたらさぞかしガッカリするだろうと思われるほど下らない内容です。

ギターは、NAOYA君。オルスバンド時代から演奏を共にし、当方のソロ活動でも誰よりも多くコラボしてくださいました。本当に感謝しています。ありがとう。

英雄の旅立ちに (feat. Naoya)

英雄の旅立ちに (feat. Naoya)

  • 邦秋
  • ロック
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そして、今回のEP「キユウカイ」のジャケットがこちら。

キユウカイジャケット(YHiRO 作)


今回も、イラストレーターYHiRO君に描き下ろしていただきました。

2023年8月の打ち合わせにて、YHiRO君に対し、音楽活動を引退すること、そしてLAST EPのタイトルは上述の「キユウ」「カイ」の由来があることを伝達。その結果、ご覧のとおり、私の1〜8th EPのジャケット作品がオマージュされた、最後にして集大成とも言えるジャケットを完成させてくれました。 

最後まで「最高傑作」を生み出してくれたYHiRO君には、心から感謝しかできません。

 

本作を通じ、史上最多6名ものギタリストの方にご協力をいただきました。そして、これまでの音楽人生においては、もっともっと様々な方との出会い、そして共作にてたくさんの楽曲を世に放つことができました。

 

これまで携わってくださった皆様への感謝と共に、私、邦秋は音楽活動を引退します。

今まで本当にありがとうございました。

英雄の旅立ちに

旅立つあなたに
流す涙も隠して眩しいその先へ

出逢いは若葉の頃 白い羽根と一緒に
未知なる世界に触れ

力任せに頂に立ち 強い風に晒されても
何処から吹いているかは確かめず

あの日の望まなかった別れを想って
ただ叫び続ける
二度と戻ることのできない節刻まれ
また一つ暗い服に袖を通す
遺された想いを胸に抱いて
残された命を生きるだけ

心すら動かない電池切れの思い出
それでも捨てきれずに引出しに閉じ込めた

優しく打ち返す綺麗な波と
隠されていた胸の内 受けて
分かれ道のもう片方へと進み始める

新しい時代を切り拓くため
交わした契りさえ捨てて
描き直した夢に向かい進む
正しさを常に自分に問いながら
旅立つあなたに
流す涙も隠して眩しいその先へ

結局、独りよがり。

歌を歌わなくなった後の

募る思いを吐き出せる方法は見つかるかな

既に不安で

 

パラソルの影に覆われた

青いラベルのお酒でさえも

すぐに温くなっていくから

躊躇なく捨てられそうな気になる

 

朝、この空いたボトルに

ありったけの愛を込めて

あの港町を想って

海に放つよ

 

でも、それが辿り着かないこと位は解っている

結局、独りよがり。

今までもこれからも。

ありがとう、優しい世界

取り残されないはずの世界で 水面に漂う一人きり

総てに開かれし扉でさえも 届かない 陸の上

 

頼みの綱は糸よりも細く 捕まえる希望も掴めない

空のボトルを投げつけるだけの一人芝居よ

 

言葉を理解して 呼吸も違わないのに

手の届く水際の向こう

埋め尽くした空気が押し返すから

 

当たり前の風の中 歩くこともできずに

手を差し伸べてくれていた 皆もいずれ離れて

それでもなお、この陸(ばしょ)じゃ 個性と呼びたがるから

嘘のない場を求め 全て海に流すよ

 

区別と差別の区別がつかずに 無闇にずらされる境目

尖った声に寄り添った耳よ、 聞こえてますか?

 

優等生を演じて 居心地が悪くなって

自覚なく逃げ続ける人生に涙する

この優しい世界

 

いつだってそうやって 不透明な革新みたいなものを

起こそうと意図的に間違った 正義を確信させたり

純粋に平等を目指して 話すのも所詮マジョリティ

冷めた瞳で隔心だけ置いて

響きだけ良さそうな言葉には 必ずや毒がある

隠された核心見抜いて

 

斜め上がどこかさえ 見失いそうになる

空模様を読むように繊細な目を持って

抗っても越えられない高い壁があるから

綺麗事を横目に 七割の海、泳ぐよ

インディビジブル

どうしてまだ こんな場所で

何も出来ずに止まっている

 

間を埋めるカードならば

泳がすように手放している

 

似ているだけでは揃わない

すれ違いばかり繰り返し

 

叶わぬことを知りながら

そっと呟いた あの言葉

迷える旅が終わるように

どうかお願い 傍にいて

 

 

二度と治まらない あぁ

嵐の中で佇むような

夢でさえも届かぬ世界

一秒がそれ以上に長くて

 

消えぬ煙が心に残る

数字が永遠(とわ)に続くように

 

憧れの地は光だけ眩しい

それだけ遠過ぎて

ただ広げてる この両腕は

何も抱けずに今日も眠る

 

定められたこの結末よ

どうか お願い 塗り替えさせて

叶いの岬

望みの粒がひとつ、またひとつと
この手から静かな音をたてながら
零れ落ちていくから

心の部屋の天井に並べられていた
明るい灯りもあと僅かに

貝殻を拾い集め 無心で磨いて並べました
誰にも邪魔させない居場所を守るため 

白紙の思い出たちが記憶を埋め尽くしていくから
ひとり 窓を見る

二度と消えぬ痛み この胸に抱えて
傷跡隠すように 嘘を着る 

 

木犀の香りが誘う岬に今から向かいます
皆がすがる叶いの鐘 鳴らすため

向日葵に見つからぬよう太陽が海に帰りし頃に

ただ一つ願うのは誰も傷つかぬ終り
裸足になり見下ろす岸壁を

空に上る姿を思いながら

カウントダウン2023

昨日まで当たり前にあった
ものですら価値を失っている
一日の朝と夜が同じ日だと信じられない日もある

超高速のタイピングで書き換えているのは
世界の仕組みだけじゃなくて
僕たちの頭の中もなのかも?

だから今日もこの板に立って
変わる景色のウェイヴに乗ったまま
僕自身を失わぬようにひたすら前に進んでいる

 

教科書で習うことは全部、過去に築き上げた知で
それらをどこでどう生かすかは
あまりにも教わらない

愛を集めたあの青い鳥が哀れまれながら後にしたように
結局は金があれば何より強いんだと知った

だからドラゴンヘッドに籠って
歌を生み出すウェイヴの音源で
この想いがいつか芽吹いて
大きな木になるまで

順調な浮足を見て憑神
敵対心剥き出しの不満を打ち出し
良縁串刺しするなら無理矢理
遼遠の筋書き描いて抜き足
していく行き先がたとえ衰退
でもね月並みばかりの口出し
から逃げて継接ぎのまま繰り出し
晴れて振り出しに戻る初日

だから僕もいつかは変化を起こす
入念に万障お繰り合わせの上
残される者たち皆の
一人立ちを全て見届けて

だから今日もこの板に立って
変わる景色のウェイヴに乗ったまま
はぐれてしまうその日にはちゃんと伝えるよ
「ありがとう」