邦秋の、ギャラリー「個と場」

宮崎在住の邦秋による言葉のギャラリー。自作詩・自作詞(歌詞)を中心に、その他、アイデアや雑感、気づきの備忘録。関心事:デザイン・教育・音楽・Eテレ・効率化・唐揚げ・kintone他

クモ

街角に溶け込んだ
スーツを身に纏っている「クモ」
時折口角を上げ
会話をしながら下見をする

誰が持つ何を狙うか
手に入れたら何処で落ち合うか
見えない道を頭の中で繋げていく

壮大なプロジェクトのため
集ったプロフェッショナリスト
不可能を可能にする
技術と道具を揃えていく

図面を手に入れたのは
分析するためだけではなく
獲物の檻を完璧に再現したいから

重い扉を開け
オープンカーを走らせて
州境を越えていく
手段を選ばず 1, 2, 3, 4

転がって潜り込んで
時に重力に逆らって
輝きを隠す鈍い箱を 華麗に美しく奪う
ぶつかってまとまって
時に仲間すら欺いて
あくまで計画通りに 狙う全てを手に入れる

回り道に見えても目的地なら外さない
我ら心のクモに誓って

標的まで少しずつ
間合いを詰めていくための作業
カメラも味方につけて
敵を買って嘘をばら撒いて

久しぶりの外界の空気
一歩街に繰り出して
退屈さを持て余すのも
退屈した仲間捕まえて

止まっていた時計を
再び動かして
騒々しい歓楽街を
さらに賑わせる

転がって潜り込んで
時に重力に逆らって
一度は失ってしまった 貴方さえも奪い返す
ぶつかってまとまって
時に仲間すら欺いて
あくまで計画通りに 狙う全てを手の中に

そして明日になれば
糸の見えない他人に戻る
体に刻むクモを潜めて

普通の星

いつだって僕等は
当たり前の呼吸を
思い切りしてきた

限りないものなど
ある筈もないのに
知らないふりをして

全ての物は借り物だから
どれも無くさぬよう
ずっと僕等は破壊したがるけど
それでも儚いほどに無力だ

誰も知らない明日を生きていく
次の僕等の居場所にも
特別な力が宿る普通の星を残して

なぜだろう僕等は
僕等という境を
守り続けてきた

何の理由もなく
自分以外の色を
否定し続けてきた

生きていくため生きている人
それを見失って我が為だけに生きている人
全て均して

誰も知らない明日を生きていく
次の僕等の住処はどこだって
居心地の良い世界でありますように

地球では抱えきれないほどに膨らんだ
キキュウがついに宇宙にもガラクタを飛ばした
望まれて産まれて 行き場を無くしている
輪を描けないなら 一度止まって

誰も知らない明日を生きていく
次の僕等の居場所にも
特別な力が宿る普通の星を残して

 

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(写真:おとっちゃんさんによる写真ACからの写真

開花

熟れた海に円い波を起こす
だけど小石では何も変わらない

ため息で窓が白くなる
それだけが今を生きている証

折り紙の飛行機 空へ放つ
誰かの指先を待ち続ける

過ぎ去れば跡形さえ無い
そんな儚いものを生み出している
だからせめてこの道を
進むときには常に立てた爪

抱かれた夢の気持ちも知らず
一途に種を零した
誰のためにではなく
自分が滅びない、そのためだけに
この一度限りの生を
顔も知らないあなたに託して

 

見上げれど 月は何時までも
消えることも満ちることもないまま
それでもやがて巡り来る
潮時のため育み絶やさず

花びら 誰もいない夜に
恥じらいから逃げ出して
秘めていた香りを蕾から
バルコニーに解き放った
このひと夜限りの生を
通りすがる蝙蝠に託して

 

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(写真:ponponchanさんによる写真ACからの作品)

娯楽の園

いつまでもスロウなライフ 刺す棘は要らなくて?
心より深い目が一度にほら、醒めるから

笑顔より幸せが伝わる表情を
知らないのは不幸だね 運び方は十園十色

欲張りや欲しがりじゃないなら日常へどうぞ

下を向いて 強く握り
カウントダウン その後目の前広がる景色は

歓びと驚きのローラーコースターへ
より深い凹凸が評価される世界で
喪失は完璧なローラーコースターで
何もかも価値観が入れ替われる場所で

疲れたとて止むことない快感の園へ

 

この時間は寄せる波で何も聞こえない
お隣の海でも溢れる笑み

満ち足りる上質なローラーコースターへ
高低差があればある程に刺激的で
焦らされて堕とされるローラーコースターへ
明日からの自分を支えるリセットを

いつまでもスロウなライフ 刺す棘は要らなくて?

ワラエバ

悲しみの果てに到達する前に
あの遠き夢で見た丘に邁進し
上り坂でも問わずただ歩いてく
ひたすらに歩みは後退なく前進で

稀にでも取れない休み 溜まっていく疲労
とは言え好きなことは適当にできなくて
背後が気になれば歩みは止まるから
ここなら超えられる いつだってそう考えている

愛捨てないで 悲しい絵にも
救える位の足跡を残して
バツの悪そうな どの目にも
隠せないでいる慈しみがあり

愛も捨てれば崩れていく
胸がざわつくなら挑まないで
毎晩寝る前に笑えば
いつもと変わらぬままの希望

名前に囚われないで 価値あるものは
きっと目の前で既に誰かを待っている
風光明媚な場所のみ目にする人も
見せないでいる影が二個くらいあるでしょう

いつまで突っ立ってんの?
立ち止まったら生きる証明も
できないからこうしてもがくしかない
自力で這い上がっていくしかない

愛捨てないで 悲しい絵にも
救える位の足跡を残して
バツの悪そうな どの目にも
隠せないでいる慈しみがあり

愛も捨てれば崩れていく
胸がざわつくなら挑まないで
毎晩寝る前に笑えば
いつもと変わらぬままの希望がある

僕が眠りについた後は

椅子の上、ゆっくりと揺られて
止まらない時計の針を眺める

憶えているはずのない揺り籠の
寝心地を、なぜだろう思い出す

初めて綺麗な心を取り戻せたとき
記憶を旅する映画が目の前に流れ始めて

たった一粒の涙が全ての笑顔を濡らしていく
癒えたつもりで気にもしなかった
傷跡はまだ傷んでいる

そんな悔やむことばかりが映し出されていくのは
大事なものを傷つけないよう
生きる術もわかっていたから

 

少しずつ心音が弱って
幕のように降りてくる瞼たち

窓から光が僕と椅子に射し込んで来て
体が少しずつ軽くなって浮かび始める

海の全てを巻き込んで寄せた波が返した後
砂浜に光る貝殻が一つ静かに残されている

僕が眠りについた後も時計は止まらないから
明日からもここで生きるあなたは
せめて幸せなままでいてほしい

 

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