より無駄なく、よりシンプルに。
デザインは、そういった方向性に進んでいます。
確かに、重複した情報は削るべきですし、余分な要素は混乱のもととなるので、その考え方には強く賛同します。
しかし、そのシンプルさが度を超すと、肝心の「必要な情報」まで削ってしまわないか、というのが最近私が感じる課題であります。
特にそう感じるのが、選択肢が2つの場合のデザイン。
例えば、以下の画面をご覧ください。
これは、iPhoneのMusicアプリの検索画面です。
最上部が検索バー。その下は、「Apple Music」内と「Your Library」内のどちらを検索するかという選択肢を表しています。
この選択肢、スクリーンショットの画面では、「Apple Music」と「Your Library」のどちらが選択されているでしょう?
もしかしたら大半の方は、正解である「Apple Music」と言い当てられるのかもしれません。
しかし、そうであってもこの画面だけを見て、「背景がベタ塗りされている方が選択されている対象である」というデザインルールは伝わりづらいのではないか、と思うのです。
(実は私自身、この画面の中では「Your Library」の方が文字が際立って見え、そちらが選択されているように感じています。)
この誤解を避けるためには、以下のような方法を考えてみました。
Plan 1…選択されていない方の文字を薄くする。
Plan 2…選択されている方の文字を大きくし、下線強調する。
Plan 3…選択されている方を矢印で示す。
Plan 3に至っては、ファミコン(ファミリーコンピューター)時代のRPG画面を思い出すようで、スタイリッシュさに欠けるのは重々自覚しています。
しかし、どれだけシンプルでスタイリッシュなデザインでも、100%のわかりやすさが確保されていなければ、それはデザインとしては完成ではないと思っています。
まずは身の周りから。
iPhoneほど大衆に影響を与えるデザインでなくても、私たちが日頃からデザインワークをする場面はたくさんあります。
例えば、身近な業務で作成する文書や伝票一つから、皆さんに正しく伝わる「作品」づくりを目指していきたいものです。