日本のデザインにおいて、スタイリッシュに見せたい時はアルファベットを使う、という傾向は少なからずあると思います。
それは、外国人の方向けのメッセージのために記載されたコミュニケーションツールとしての英語ではなく、あくまで装飾のためにオブジェ的に配置された「飾りのしての文字の並び」なのです。
例えば、ご当地土産のパッケージをご覧ください。キャッチーな商品名の下に、説明文のように英文たちが添えられているデザインがチラホラ。
その英文をよく読むと明らかに文法が間違えていたり、驚くくらい幼稚なメッセージだったり…そんな事例を見たことがあります。(写真を撮っておくべきでした。)
ただ、外国の看板等で見かける日本語の文法のミスを可笑しいと思ったり、外国人のタトゥーの漢字の使い方に違和感を感じたりしたことがありませんか?
その可笑しいことや違和感があることを、日本人は平気で、とてつもない頻度でしてしまっているのです。
ですので、兼ねてより私はデザインにしても歌詞にしも半端な英語は使わないように心がけています。(デザインにおいては、モチーフによって使わざるを得ないこともありますが…)
そんな中、先日発見した珍しい、かつ危険なテクニックをご紹介したいと思います。
こちらをご覧ください。
何の変哲もないウェットティッシュです。
が、私が気になったのはこの部分。
商品名にある通り、これは銀イオンのウェットティッシュですので、Agという元素記号が書かれているのは何も問題ありません。
しかし、この傍にある"GIN ION"という言葉。
恐らく、銀をローマ字書きでGINとしたのでしょうが、これは明らかに失策だと思います。
なぜなら、Ag+と書かれてあるこの部分だけ見ると、日本語の要素がないからです。
つまり、日本語の読めない外国人の方がこの商品を手にしたら、このAg+の記載を頼りに商品の特徴を理解すると思うのですが、ここに"GIN"と書かれてあると、それがまさか日本語だとは思わないでしょう。
その時のこの"GIN"は、「ギン」ではなく、もはや「ジン」なのです。
「元素記号Agは銀だけど、傍にはジン(=蒸留酒。ジントニックのジン)イオンと書かれてある…この商品は一体何者だ…?」と思われるのではないでしょうか。
日本で生活する外国人の方も多くなってきました。
ますます街中で外国語を掲げる必要性が高まっていますが、スタイリッシュな飾りとしての外国語ではなく、コミュニケーションツールとしての言語であることを再認識いただき、用いた場合の正確さには拘っていただきたいと願っています。