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2020年3月20日にニューアルバム「Breath of Bless」をリリースしたASKAさん。
良曲揃いの中、私は圧倒的に「青い海になる」という曲に惚れ込んでいるのですが、今日は別の曲の話題を。
このアルバムには2018年に6ヶ月連続で配信した楽曲も収録されています。
その6曲の中でも、オープニングを飾る「憲兵も王様も居ない城」は、2018年7月25日にシングル配信されていたものです。
当時この歌詞を初めて目にした時と今回改めて読んだ時で、その見え方が随分変わっていたことに気がつきました。
2018年7月、あの頃にこの歌詞の真意を掴んでおけば、いつかはASKAさんがCHAGE and ASKAの脱退することも予期できていたのだな、と。
乗せ換えろよエンジンを 動かなくなるその前に 運命です 寿命ですって 誰にも言わせないように
憲兵も王様も居ない城 - ASKA_burnishstone’s diary
冒頭から命令形で始まります。
人は誰にでも浮き沈みがあります。CHAGE and ASKAとしても(売上・数字上の)ピークを超え、その中でどのような活動を続けていくか。そのスタンスのことを「エンジン」と表現したのではないでしょうか。
運命・寿命というのも、CHAGE and ASKAという組織体の話でしょう。
AM 9時 窓を開けて 地球の風を部屋に入れ I am GENKI 言い聞かせてみた
憲兵も王様も居ない城 - ASKA_burnishstone’s diary
恐らく、この箇所は、ASKAさんはCHAGE and ASKAの存続に関するモヤモヤから吹っ切れて、脱退の決意が固まった表れかと。
逃げりゃ追いかけてくる 追いかけりゃ逃げてゆく 人生ってヤツは 愛らしい
憲兵も王様も居ない城 - ASKA_burnishstone’s diary
「逃げりゃ追いかけてくる」はCHAGE and ASKAの解散を願い出ても株主総会で了承されなかった現状を、「追いかけりゃ逃げてゆく」はかつてCHAGE and ASKAとして一生懸命頑張っていたのにリリースが伸びなかった苦しい時期を歌っているのではないでしょうか。
この矛盾を「愛らしい」と表現できるのも、吹っ切れた後だからこその境地かと。
トランプで組み立てた お飾りのような城を出る 憲兵も王様も居ない城
憲兵も王様も居ない城 - ASKA_burnishstone’s diary
「城」とはCHAGE and ASKAという「居場所」に他ならないでしょう。
王様は…ASKAさん個人というより、ChageさんとASKAさんの二人の息があった際に生まれる力のようなものを想起しました。
また、憲兵については…私が以前、仮説の仮定を立てたように、Chageさん側に何らかの変化があったとすると、それをきっかけに憲兵(=事務所スタッフ?)もCHAGE and ASKAから離れていったのかもしれません。
ひまわりのような笑顔って お日様だけしかわからない 土の中 支えつづけるもの
憲兵も王様も居ない城 - ASKA_burnishstone’s diary
ここも様々な読み方ができうる箇所ですが、お日様(=ファン)は、CHAGE and ASKAの笑顔ばかりを見てきただろうけど、二人は見えないところでその存続のため苦しみながら踏ん張っていたんだ、という解釈したくなってしまいます。
しかしその場合、「しか」の位置は、「お日様には、ひまわりのような笑顔しかわからない」となるはずなので、恐らくこの読み方は誤っていそうです。
遺書なら昔に書いてある 何枚書いても隠される 結局答えを「我慢」と言うんだろう
憲兵も王様も居ない城 - ASKA_burnishstone’s diary
この曲がリリースされた当初は、「いつ死んでもいいという覚悟で歌を歌っている。でも、まだ神様が歌えと言ってくる」というような解釈をしていたのですが、結局こちらもCHAGE and ASKAの解散、もしくはそこからの脱退をずっと訴え続けてきていた、というメッセージだったのかと。
1,2の3で飛び乗るか 1,2の3ハイで乗るか どうでもいい策で陽が落ちた
憲兵も王様も居ない城 - ASKA_burnishstone’s diary
面白い表現です。
恐らく、タイミングや方法等、綺麗な形でCHAGE and ASKAが抱える課題を解決しようと試みたが、それもうまくいかず徒労に終わってしまったということでしょうか。
重い苦しい道は うんとオシャレに歩く そしてオシャレな道は オシャレに行く
憲兵も王様も居ない城 - ASKA_burnishstone’s diary
ASKAさんは、自分が苦しい時や苦しみを乗り越えた後の生き方を「歩き」で表現する傾向にあると分析しています。
印象に残っているのは、 「僕の来た道」(「SCRAMBLE」収録)。次のようなフレーズがあります。
「たっぷりと寝た朝は元気 からだ中にフルーツがいっぱい
昨日まで僕を苦しめていたことも消えた
誰かが見ているならハンサムな道を歩きたい
弱さや不甲斐なさは堂々と隠してね」
2008年〜2011年の間、過去曲の刷り直しが続いており、私は「ASKAさんはもう曲が書けなくなったのでは…」と(勝手に失礼な)心配をしていました。
その後、「SCRAMBLE」という素晴らしいアルバムがリリースされ、その心配を吹き飛ばしてくれたのですが、クライマックスのこの曲で上記の歌詞を読んだ際、「やっぱりそれまで苦しんでいらっしゃったんだな」と(勝手に失礼な)納得をしてしまったのを思い出します。
今回の「オシャレな道」も「ハンサムな道」とほぼ同じ意味で使っていらっしゃるのでしょう。
「憲兵も王様も居ない城」、一節だけをピックアップして考察するつもりが、全てに私見を綴ってしまいました。
真相はASKAさんにしか分かりませんが、一仮説としてこんな解釈もお楽しみいただければと思います。
歌詞には、書き手にしかわからない想いが込められています。
同じ言葉なのに、一つの出来事の前と後でその見え方が随分と変わってしまう。
それもまた、音楽や歌詞を堪能できる魅力の一つですね。