邦秋の、ギャラリー「個と場」

宮崎在住のランチタイムミュージシャン、邦秋(くにあき)の頭の中。アイデア備忘録・雑感・お役立ち情報から創作活動(音楽・歌詞・散文詩等)の展示・解説まで幅広く。関心事:DTM・音楽・ロゴ・デザイン・教育・APPLE・効率化他

音楽談義 #01 「良い歌詞の定義」1/3

これは、本ブログ管理人である邦秋と、シゲ氏(Real Hiphop Neo Japan)の楽しい会話を文字に起こしたいという邦秋の願いを形にしたものです。緩くも深そうな話をお楽しみください。

 

[対談日:2020/06/14]

 

客観的に「良い歌詞」とは

邦秋(以下、邦): それにしても仕事以外で事前に議題、というか宿題を与えられたのは初めてだな。

シゲ(以下、シ): ま、俺も誰にでもそういうことをしてるわけではないよ(笑)

邦: だろうね(笑) で、今日ウチらが会うにあたって、事前にもらった宿題が「良い歌詞の定義とは」「良い歌詞の曲とは」を考えてくるように、とのことだったんだけど、なぜ今このテーマを?

シ: 俺の周りにいる音楽を語れる仲間はみんな演奏する側の人間で、歌詞に注目する人たちじゃなかったんだけど、最近彼らから歌詞好きの俺に対して「何か良い歌詞の歌を教えてよ」ってリクエストがあって。

それに対して何を教えればいいんだろうって意外と迷っちゃって。

邦: 確かに案外難しいリクエストかもね。

シ: 俺も今まで自分なりに歌詞について色々と考えてきたんだけど、自分の好き嫌いではなく、「客観的な評価としての『良い歌詞』」っていう視点はノーマークで。だから、日頃から歌詞を書いてる邦くんにも話を聞こうかな、と。

邦: 確かにこの宿題を受けてから悩んだよね。ひとまず、シゲの中での考察はどこまで進んだの?

シ: まず、歌詞の良さの決める要素は次の3つじゃないかと思って。

 ①哲学・切り口

 ②表現力

 ③自然な譜割り・馴染み

 

③の「自然な譜割り・馴染み」については、邦くんが力説してくれて初めて注目し始めたことだけど。

邦: 曲が呼んでいる歌詞を書けているかどうかっていうね。その重要性が伝わって良かった(笑)

シ: あとは、サブ的な要素としてタイトルも大事かな。例えば、SIAM SHADEは、曲を作るDAITAさんが栄喜さんの書く歌詞をあまり気に入ってなかった、だけどヒット曲が出ちゃったっていうことがあって。

邦: それは何だか素直に喜べない成功だね。

シ: でも、俺は「1/3の純情な感情」ってタイトルは、確かにスタイリッシュではないものの、人々の目を惹くという点で良い役割を果たしていると思うわけ。

邦: 1/3っていう表記だったり、韻を踏んでたりして、印象には残りやすいよね。

シ: ところで、ウェブで調べたところ、歌詞の面で褒められているのは野田洋次郎さん(RADWlMPS)と草野正宗さん(SPlTZ)。この二人、書く言葉のタイプは全く違うけどね。ちなみに、俺にとって、野田洋次郎さんや藤原基央さん(BUMP OF CHICKEN)の作品は、歌詞として一篇一篇が長過ぎるな、とは思っている派ではある(笑)

邦: RADWIMPSBUMP OF CHICKENは、哲学的な歌を発信しているイメージがあるね。

シ: 個人的には、先の3つの要素を考えた時、JUDY AND MARYの歌詞は秀逸だと思うよ。

メジャーどころでいうと「Over Drive」とか「そばかす」とか。

邦: お、その心は?

シ: この2曲は、楽曲に勢いがあって音も激しい感じの中で、歌詞もそのグルーヴにちゃんと乗りつつも、切なさがあるのよ。「あなたはいつも泣いてるように笑ってた」(Over Drive)とか、「もっと遠くまでいっしょにゆけたら、ねぇ」って言いながらオチは「あの人の笑顔も思い出せないの」(そばかす)だったり。

邦: なるほど。綺麗なまとまりの中に情緒感も含んでて素晴らしい歌詞だね。

シ: 「良い歌詞」について、この3つの観点で見たいってところまでは辿り着いたんだけど、まだ答じゃない気がするんだよね。

 

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