ロゴデザインについて談義するウェブ番組「ロゴ談」にて、私の推しロゴとして「サーティワンアイスクリーム」のロゴを挙げさせていただいたことがあります。
2005年にリニューアルされたこのロゴは、本来の企業名である"BuskinRobbins"の頭文字"BR"と、店舗のコンセプトでもあるフレーバーの数"31"をうまく掛け合わせたデザインとなっています。
大変運命的な繋がりで生まれたこのロゴに、強靭な説得力を感じるのです。
また、この談義の中では、日本特有の会社名「サーティワンアイスクリーム」にも言及。
2005年のロゴリニューアル後も、それ以前から用いられていた「サーティワンアイスクリーム」のカタカナロゴが、フォントや色をそのままに、引き続き併記されていることをご紹介しました。
しかし、2021年4月、ついにそのカタカナ表記もテコ入れされたとの情報が。
表記が、「サーティワン」だけになったのです。
私は、この意図について次の考察を立ててみました。
考察1 ただのアイスクリーム屋ではなくなることの意思表示
今回のリニューアルを聞いて、私は一つの事例を思い出しました。
それは、スターバックス。
スターバックスも、2011年1月のリニューアル時に、それまでの表記"STARBUCKS COFFEE"から"STARBUCKS"に変更がなされました。
これは、「ただのコーヒー屋」ではなくなるという意思の表れであったと言われており、確かにこの頃からアルコールの販売を始める等、新たな取組をはじめました。
この事例と同様、サーティワンも「アイスクリーム」の名前を外すことで、「ただのアイスクリーム屋」というイメージを払拭を図ったのではないか、という考察です。
考察2 日本での社名・店名を「バスキンロビンス」にすることへの布石
しかし、考察1には盲点がありました。
そもそも、「サーティワンアイスクリーム」という社名・店名を掲げているのは、日本と台湾だけ。従って、グローバル企業における一部地域のみで、そうした重要な意思表示をすることはないはずなのです。
考えを改めて、様々妄想して行き着いた二つ目の考察が、そもそも「サーティワン」という名称を、他国では一般的な「バスキンロビンス」に変えようとしているのではないか、というもの。
グローバル企業において、国をまたいだブランド統一化を図る動きは各社進んでいます。
ケンタッキー・フライド・チキンは、「食べたくなるなるケンタッキー」というキャッチーなコピーを捨てて、「It's Finger Lickin' Good!」(指をしゃぶりたくなるほどおいしい)に統一されました。(日本人にはピンとこないですが…)
武田薬品工業は、これまで国内においては赤三角のロゴ(ウロコ印)が用いられていましたが、近年は日本においてもグローバルロゴ(抱き山)へ差し替えられています。
こうした時流をふまえ、サーティワンの例に戻ると、「サーティワンアイスクリーム」の日本独自のカタカナ表記からアイスクリームが排除されただけでなく、そのフォントや色が本体のロゴに馴染む形となったところにポイントがあると感じています。
このリニューアルにより、「BR」ロゴと「サーティワン」表記をひとまとまりとしての認識を浸透させ、日本人が「BR」の2文字を通じて「サーティワン」性を感じるようになれば、店名をBRの由来である「バスキンロビンス」へと舵をきるのではないかと予想した次第です。
各企業や組織は、それぞれに想いと狙いがあります。(本稿の内容は、ほとんど妄想ですが)
それらを詰め込んでアウトプットされるロゴデザインを観察するのは、とても面白いですよ。
最後に、ロゴ談の私の最新出演回の宣伝を以て、久しぶりの投稿を締めたいと思います。