自動扉が、作為的に開かなかった
深夜三時を超えた東京の街に、
一晩を寒さから凌げると考えた策は、
入口を突破できないという、
太刀打ちのできぬ壁を前に終結。
「仕方ないな…」。
男は、やれやれという顔を見せながら
夜でも光が絶え間なく続くラインに顔を覗かせ、
一台のタクシーを停めては
儀式のようにいつもの挨拶で帰り路についた
一人になった男は、実はまだ諦めてはいなかった
自動扉以外の突破口があるはずだと
ビルの三六〇度の探索と三カ所の扉の開錠を試みる
しかし、壁は高く、壁は厚い。
そのとき、
中から疲弊感のためにスーツを乱した男が
一九時間拘束からの解放を遂げて
ただしかしその表情は安堵でも歓喜でも達成感でもなく
何も受け取れないことが表現であるかの顔で出てきた
いかにしても突破が叶わなかった壁は、
その男が通った自動扉により開かれた。
タクシーに吸い込まれた男と、ただ待った男の間にあったのは
自分のツキを知っているかどうかだった気がする
ツキだけを頼りに生きてきたことが
実力がつかない原因となるのか
ツキを実力とできる要因になるのかは
何を(無意識に)信じて道を歩むかによるのだろう
そのビルの中で、ツキについて考え、ここに記す。
深夜三時を超えた東京の街に、
一晩を寒さから凌げると考えた策は、
入口を突破できないという、
太刀打ちのできぬ壁を前に終結。
「仕方ないな…」。
男は、やれやれという顔を見せながら
夜でも光が絶え間なく続くラインに顔を覗かせ、
一台のタクシーを停めては
儀式のようにいつもの挨拶で帰り路についた
一人になった男は、実はまだ諦めてはいなかった
自動扉以外の突破口があるはずだと
ビルの三六〇度の探索と三カ所の扉の開錠を試みる
しかし、壁は高く、壁は厚い。
そのとき、
中から疲弊感のためにスーツを乱した男が
一九時間拘束からの解放を遂げて
ただしかしその表情は安堵でも歓喜でも達成感でもなく
何も受け取れないことが表現であるかの顔で出てきた
いかにしても突破が叶わなかった壁は、
その男が通った自動扉により開かれた。
タクシーに吸い込まれた男と、ただ待った男の間にあったのは
自分のツキを知っているかどうかだった気がする
ツキだけを頼りに生きてきたことが
実力がつかない原因となるのか
ツキを実力とできる要因になるのかは
何を(無意識に)信じて道を歩むかによるのだろう
そのビルの中で、ツキについて考え、ここに記す。