前回の記事でも触れた通り、先日ウェブ番組「ロゴ談」に出演させていただきました。
この番組は、小崎直利さん(㈱KOZAKIKAKU)と吉井慎人さん(㈱GLOCAL GUNSHI)とゲストの3名が、ロゴデザインに関するゆるいトークを繰り広げるもので、毎週放送されています。
このレギュラー2名が、話を引き出すのも膨らませるのも天才的で、毎週トークは大盛り上がり。
先日の私の出演回では、頭の片隅に閉まっていたどうでもいい推論をついつい述べてしまいました。
本稿では改めてその推論に触れ、出来る限りの事実確認も行ってまいろうと思います。
その推論とは、次の通り。
「ホンダのNシリーズについて。
現在は、N-BOXやN-VANのようにハイフンがついているが、このハイフンは、N-ONEが英単語の"none"(意味: 何も…ない)とならないように付けられ始めたのが起源ではないか」
…という、上述の通り、本当にどうでもいい推論です(笑)
仮にこれが事実だとして、ホンダさんがこんなことをわざわざ発表することはなく、その証明はできないわけですが、せめて「現在のNシリーズのデビュー作であるN-BOXは、当初はハイフンがなかった」という記憶だけでも事実確認をしたいところ。
今回は、ウェブサイトの過去のデータを遡ることができるサービス「Wayback Machine」を利用することにしました。
検証するのは、ホンダの「カーラインアップページ」。
ちなみに当該ページの現状はこのような感じです。(画面は、乗用車・最大乗車人数4人で絞り込みをしたところ)
N-BOX、N-WGN、N-ONEの全てにハイフンが付いていますね。
では、N-BOXがデビューした当時を見てみましょう。
Wayback Machineに残っているカーラインアップページで、N-BOXが登場する最古の記録がこちらでした。
2011年12月5日の記録です。ウェブサイトのデザインも大きく違いますね。車種ごとの写真のテイストもバラバラですし。
この頃に比べると、現行のウェブデザインはメーカーとしての統一感の醸成を目指しているんだなぁ、ということに気づくことができます。
そして、肝心のN-BOXは、やはり私の記憶通りハイフンなしの「N BOX」でした。
では、いつからハイフンが付き始めたのか。その変化点を探ってみます。
2012年11月8日。N-ONEが登場しました。余談ですが、ウェブサイトデザインが現行のものに近づきましたね。
車種名ですが、「N-ONE」はハイフンあり、「N BOX」はハイフンなし、という運用のようです。
そして、当時私も気づかなかったのですが、ロゴのデザインが「N-ONE」はNとONEの配置が縦なのに対し、「N BOX」は横となっています。
これも、英単語「none」と見えないための工夫だったものと思われます。
次の変化点。
2013年11月21日。「N-WGN」の登場です。N-WGNも、ハイフンあり・縦置きと「N-ONE」と同じ扱いとなっています。
なお、ここで気になるのが「N BOX」が、写真・ロゴ共に圧縮されて縦長になっているところです。この状態がしばらく続きます。
そして…
2015年2月6日。
N-BOXスラッシュ登場のタイミングで、「N-BOX」にもハイフンがつきました。
そして、ロゴが横置きなのは頑なに変わりませんが、そちらにもハイフンが付加されています! これは記憶にありませんでした。
こうして、Nシリーズに全てハイフンが入ることとなったようです。
ちなみに、現在のNシリーズのウェブページを見ると、全て縦置きロゴで統一を図っているようですが、「N-BOX」が縦置きになったのはいつかを調べてみました。
そこで、Wayback MachineにてN BOXのページを遡ってみたのですが、答は意外なところに。
これが、Wayback Machineで遡れた最古の「N-BOX」のページ。2011年12月2日の記録です。
なんと、ここで既に縦置きのロゴデザインも登場していました。
つまり、当初は縦置きと横置きの両方を併用していたわけですね。
さて、当初の推論「Nシリーズのハイフンは、N-ONEが英単語の"none"とならないように付けられ始めたのが起源ではないか」は、その決定的な根拠こそ掴めませんでしたが、これを機にNシリーズの表記・ロゴをめぐる興味深い発見ができたようには思います。
こんな気づきを与えてくれるウェブ番組「ロゴ談」。
お時間があれば、ぜひご覧になってください。