20191021 「宇崎ちゃんは遊びたい」×献血コラボキャンペーンについて
先日から、ツイッターのタイムライン上に「不適切な献血ポスター」を巡ってのツイートが流れていました。
何が起きているのかよくわからなかったのですが、調べてみると以下のようなことが起きているようです。
①日本赤十字社は、「宇崎ちゃんは遊びたい!」という漫画と献血コラボキャンペーンを実施し、これに関するポスターの掲示やグッズの作成を行っている。
②「宇崎ちゃんは遊びたい!」は、Twitter上に掲載されていたショート漫画から始まり、後にニコニコ静画上のウェブコミック配信サイト『ドラドラドラゴンエイジ』で連載が行われ、単行本化に至っている作品である。
③Unseen Japanというツイッターアカウントが、”I admire the work the Red Cross does, which is why I’m disappointed that @JRCS_PR in Japan would run a campaign using the over-sexualized Uzaki-chan”(赤十字の功績は称賛するが、 過度に性的な宇崎ちゃんを用いたキャンペーンを行っている日本赤十字社には失望した)とツイート。
I admire the work the Red Cross does, which is why I’m disappointed that @JRCS_PR in Japan would run a campaign using the over-sexualized Uzaki-chan. There’s a time & a place for this stuff. This isn’t it. #women #metoo #kutoo pic.twitter.com/bhds7IPPTq
— Unseen Japan @ 超スプーキー (@UnseenJapanSite) October 14, 2019
④そのツイートを引用しつつ「本当に無神経だと思います。なんであえてこういうイラストなのか、もう麻痺してるんでしょうけど公共空間で環境型セクハラしてるようなものですよ」と述べた弁護士太田啓子さんという方のツイートが話題になる。
日本赤十字社 が「宇崎ちゃんは遊びたい」×献血コラボキャンペーンということでこういうポスターを貼ってるようですが、本当に無神経だと思います。なんであえてこういうイラストなのか、もう麻痺してるんでしょうけど公共空間で環境型セクハラしてるようなものですよhttps://t.co/KV5g0W8JpK https://t.co/43EpSlzHOp
— 弁護士 太田啓子 (@katepanda2) October 14, 2019
と、いうことです。
そして、そのイラストがこちら。
このイラストがセクハラかどうか、という議論についてですが、私は「今はこういう漫画が流行ってるんだな」と思ったくらいで、性的な感情は特には抱きませんでした。
これが、太田氏の述べるところの「麻痺」ということでしょうか…。
個人的には、性的かどうかというのは、単純な尺度で言えば、露出の度合いや性行為を想起させるか否か、という点が関わってくるものと思っています。
今回は、その性的さを測る尺度として胸部の強調度合が論点となっているようですが、「体のパーツの描き方」を嫌い始めてしまうと、ほとんどがセクハラだと言われかねない気がします。
例えば、モテる男性主人公は足が長く描かれていたり、イケメン扱いされるキャラクターは総じて鼻が高いこともセクハラにあたるのでしょうか。
この問に対し、「足や鼻は性的ではない。胸部だからダメなのだ」と反論をされるのであれば、その反論は、単に「私は、日常から胸が大きい女性を性的な目で見ています」というカミングアウトにしか聞こえません。
胸部の協調を問題視する流れで論ずれば、世界の累計発行部数が4億5000万部を突破した漫画『ONE PIECE』のナミも、1967年以降愛され続けている『ルパン三世』の峰不二子も批判の対象となるのでしょう。
この指摘に対し、「ナミや峰不二子はいい。宇崎ちゃんだからダメなのだ」と反論されるのであれば、それは単に「宇崎ちゃんは絵のタッチが自分の趣味には合わない」だとか「宇崎ちゃんは自分の触れたことのない画風だ」というだけであり、前者と後者を区別する理由にはならないものだろうと思っています。
私自身「宇崎ちゃんは遊びたい!」という作品自体を今回の話題で初めて知ったくらいの者であり、必死に擁護するつもりはありません。
さらに、表現の善し悪しは明確な線引きができるものではなく、受け手の印象によるものであることも承知はしているつもりです。
(表現の不自由展の展示内容は、明確な「悪し」であると断言しますが)
それでもなお、今回のキャンペーンへの批判は私には理解ができないところがある、と思った次第です。