邦秋の、ギャラリー「個と場」

宮崎在住のランチタイムミュージシャン、邦秋(くにあき)の頭の中。アイデア備忘録・雑感・お役立ち情報から創作活動(音楽・歌詞・散文詩等)の展示・解説まで幅広く。関心事:DTM・音楽・ロゴ・デザイン・教育・APPLE・効率化他

20230815 8th EP「Perfectly Peaceful and Psychedelic Petit Party for Pleasure of Post-Pandemic」ライナーノーツ

本日、新EPをリリースしました。

 

毎回、ジャケットを描いてくれるイラストレーターYHiRO(ワイヒロ)君。

彼とのやりとりの基本的な流れとして、私がEPのタイトルやコンセプト、収録曲の情報を彼に提供し、それを受けてイラストを描き上げてくれます。

そして、前作の「ファッションショウ」では、当初6th EP用としての依頼に対し、YHiRO君が2パターンのイラストを制作してくれたことがきっかけで、「破壊盤」と、その先の「創造盤」という、EP 2枚1セットの姉妹盤とすることにしました。

 

そうして、EPのコンセプトや在り方を、自分一人だけでなく、誰かと一緒に創り上げていく面白さを体感したことをきっかけに、8th EPは、逆にYHiRO君にジャケットイラスト制作を先行してもらい、それに合う曲を作っていくという手順をとってみることに。

それが決まったのが、2022年7月23日でした。

 

それから約3ヶ月後の2022年10月11日。YHiRO君から、8th EPの構想が届きます。

そこには、カラフルなイメージイラストと共に「ハッピー」「ポップ」「FUN!」「HAPPiNESS」「FREEDOM」「∞」等のテキストが。

まさかのアプローチに驚きつつも、ポジティブな曲を書けない私ヘの挑戦状だと思い、しばらくの間、この構想と向き合ってきました。

ポジティブな曲というか、歌詞が書けないんです。前向きな歌詞を綴るのも、歌うのも鳥肌が立ってしまうというか…。

そうして辿り着いた私の答えは、「全て英語詞で書く」でした。

 

これまでの私の作品に触れていただいた方なら気づいていただいているかもしれませんが、私、基本的に歌詞に中途半端な外国語は入れないようにしています。

それは、単純にかっこよくないと思っているからなのですが、いっそのこと全英語詞まで振り切ってしまえばいいかな、と。

鳥肌が立つ日本語前向き歌詞よりは、挑戦できる余地があると思い、方針決定です。

 

そして、EPのタイトルもハッピーに絡めたいと思い、「Perfectly Peaceful and Psychedelic Petit Party for Pleasure of Post-Pandemic」と命名

「このタイトルのどこがハッピー?」と思いました?

 

 

…そんなこんなでYHiRO君から受けた構想を基に、約1年間曲を制作し続けてきました。

今回は、前置きが長くなったので各曲の解説は短めに行いたいと思います。

 

 

1.  Psychedelic Party

EPのタイトルが長く、インパクトがあるので、その幕開けとなる一曲目の制作には結構なプレッシャーを感じていました。

そこで思い出したのが、バンド「メイソウパレット」時代に作っていたライブのオープニングSE。ということで、久しぶりにインスト作品を制作し、その曲から始まるEPとすることにしました。

曲のコンセプトは、EPタイトルから要素を抽出して「サイケデリック・パーティ」。

EPが始まるワクワク感を演出できているでしょうか?


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2. Superopportunisticexpiratoryferocious feat. TAKOHIRO

今回の8th EP用の楽曲を制作する上で一貫して、「英語曲でしかできないことをしよう」という意識が働いており、このタイトルもその流れで「あの作品」をオマージュしてみました。といっても、タイトル以外は特に踏襲した箇所もないのですが…。

ギターは、YouTubeで90年代の楽曲を中心に演奏動画を披露されているTAKOHIRO様。

その演奏に一聴き惚れして、本作への演奏をオファーさせていただきました。

 


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3. I Don't Care feat. U'En

英語詞の似合うハードロック曲に憧れて生み出された曲。仮タイトルは、何となくの雰囲気で「California Driving」でした(笑)

サウンドは、B'zのとある曲を目指したいと思い、日頃からB'z風のギター演奏動画を制作されているU'En様にコラボレーションを依頼。

さらに、U'En様が本作のアレンジ曲をYouTubeにアップしてくださいました。

自分の書いた曲を自分以外の方にフルアレンジしていただいたのは初めての経験だったので、大変感動しました。

 


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4. about the Trip without the Traps feat. Hiko Jakusha

本EP向けに楽曲を制作していく中で、ふとYHiRO君による構想にあった「HAPPY」的要素を、曲調としてわかりやすく表現した作品がないのではないかと思うに至り、思わず踊ってしまいそうな曲を目指して、EDM調の曲に挑戦してみました。

前作7th EPの「乱反射」と同じく、デジタルで編曲を作りこんだ上で、ギタリスト飛行弱者様に演奏を相談。あっという間のスピードで、曲に馴染む完璧なアレンジを提案してくださいました。

以前、少しだけヒップホップダンスをかじったことがあり、その経験が生かせた歌詞になったな、と思っています。

 


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5. Just an Ordinary feat. NAOYA

せっかく英語詞にこだわるならと、ポップスのど真ん中な曲も作ってみたいと思い生まれた作品です。

今回のEP全体を通して言えることですが、この曲に合う日本語歌詞を書ける気がせず、言語というフィルターが創作に与える影響の大きさを感じました。

YHiRO君から提示された「HAPPY」というキーワードが一番多く歌詞に出てくる曲ですが…こんな意味合いでの使い方しかできませんでした…。

ギターは、毎度コラボしてくれている7030のNAOYA君。スリーピースバンドからギター演奏を始めた彼ですが、今回ギタリストとしての新たな境地を切り拓かれたような、そんな気がしています。

 


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6. No Problem feat. Koh (The radicats)

EPの締めくくりこそ、明るさを全面的に打ち出したいと思い、なかなか書かないパンクソングです。歌詞は、3曲目の「I Don't Care」にも通じる内容で、あるがままが幸せ、という考えをもとに書きました。

ギターは、いつかコラボしたいと思っていた、宮崎のパンクバンド「The radcats」のKoh君。

私がバンド時代に一緒に出たイベントで、Throwback Sundayの一員として出演していた彼に一目ぼれをして、私のバンド主催のイベントにPunk Hazardとして対バンしてもらい、今回久しぶりに連絡をとらせてもらって、The radicatsのKoh君としてコラボが叶いました。

宮崎のパンク界を引っ張る彼と共作させてもらえたのは、音楽活動においての素敵な思い出の1ページとなりました。

 


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そして、YHiRO君が完成させてくれた、今回の「Perfectly Peaceful and Psychedelic Petit Party for Pleasure of Post-Pandemic」のジャケットがこちら。

 

 

Perfectly Peaceful and Psychedelic Petit Party for Pleasure of Post-Pandemic



構想通り、宣言通り、見ているだけで心から楽しくなるイラストです。そして、YHiRO君曰く、使用した色の数や描いたキャラクターの数にも拘ってくれたとのこと。その奥深さを含め、世界中から評価されるアート作品だと思っています。

すみずみまで見れば、いつまでも楽しめる、時間と想いが籠った一枚。今回も、このコラボレーションに心から感謝しています。

 

 

ということで、8th EPも多くのギタリストの方のお力をお借りし、本日の配信開始まで至ることができました。

携わってくださった皆様に感謝いたします。そして1人でも多くの方に、少しずつでもお聴きいただければ幸いです。

あの人の着地点について

卑怯者の私は、先に予防線を張っておく。

これは、決して誹謗中傷ではない。

 

ただ、ずっと思ってきた考えを記す。

 

 

あの人は、人生をかけてずっと逃げ続けた可哀想な人だ、という印象を抱いている。

 

テレビ番組では、「いい彼氏」「いい夫」像を述べるに徹し、そうでない男性共演者の生き方を否定し続け、社会的称賛を浴びやすい立ち位置に逃げてきた。

 

ただ、自分の想いと乖離したそれらの発言の無理がたたり、性の一般的な枠組みから逃げたいという理由で、男性として扱われることだけでなく、戸籍上の親としての繋がりからも逃げてしまった。

 

 

逃げることは決して悪いことではない。

 

ただ、それまで積み重ねてきた自分の発言や行動との比較から、大衆の理解が得られない逃げ方であることは、自明のことであった。

 

そして最後に行き着いた選択肢は、自分の行ってきたことや大切なパートナー・子供に対する責任を全うすることではなく、そこからすらも逃げるしかなかったのだ。

 

従って、今回の報道に対し、私はさほど驚きがなかったというのが本音なのである。

 

 

多様性の尊重は大切だ。

 

だからといって、いわゆる大衆でない側の人の思いや発言の全てを社会が認めていいわけではないと思う。

 

人は、どんな立場であっても、何でもして、何でも言っていいわけではない。

 

周囲とのバランスを保ちながら、それぞれの居心地の良さを見出していかないといけないし、そのためには自分が多少我慢しなければいけないことも出てくる。

 

それはマジョリティもマイノリティも変わらないはずだ。

 

あの人の振る舞いや発言も、きっと身近な誰かが適切な助言をしていれば、身近でない人たちからの心無い言葉も減らすことができたのではないだろうか。

 

今回の件で、多様性に対する議論や、社会の容認的許容について、視点や論点がずれてしまわないことを願う限りである。

20230324 7th EP「ファッションショウ 創造盤」ライナーノーツ

前回の「ファッションショウ 破壊盤」との姉妹盤となる今作。

姉妹盤制作に至った経緯については、前作のライナーノーツをご覧ください。

 

kuniaki.hatenablog.com

 

「破壊盤」では、それまでの自分の殻を破り、様々な新しい挑戦を行いました。

その先の進化として、今作では破壊した自分による新たな核を追求。さらに、過去最多となる5名のギタリストとのコラボレーションを実現し、まさに創造的な「ファッションショウ」が実現できたものと思います。

 

では、「創造盤」について、1曲ずつ簡単にコメントさせていただきたます。

 

1.  銀色の星と青い月 feat. ハネジロー

この曲を書き始めたのは、早1年以上前。

2022年の私の誕生日にLINEをくれたハネジロー君に近況を尋ねたところ、「しばらくギターを触っていない」との回答がありました。

あれだけのギターテクニックを持っていながら、ギターに触れる機会がないのは大変もったいないと思い、急遽「ハネジロー君がギターを弾くための曲」として制作。

結果、想像に沿う、でも期待を遥かに超えたギターアレンジを創ってくれました。「ハネジロー君はこうでなくっちゃ」と一人で嬉しくなったのはいうまでもありません。

歌詞は、当時、私の身の周りで同時に起きた2つの「変化」を織り交ぜて綴りました。

 



 

 

2. セイメイ feat. masaru,

こちらは、シンプルかつストレートで疾走感のあるロックを歌いたいと思い、制作した曲です。

ベースとドラムだけでも成立するくらいのかっこいい作品を目指したのですが、masaru,様のギターによって、曲の持つポテンシャルを200%引き出していただきました。

当初、「声明」と歌詞は「宣誓」だったのですが、タイトルとして「センセイ」としたときに、どうしても「先生」の漢字が頭をよぎってしまう点が気になり、熟考の末「セイメイ」に。

蓋を開けてみると、セイメイの方が言葉遊びが広がったこともあり、一度は壁にぶつかりましたが、結果としてそれが良かったとしみじみ感じております。

 


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3. 乱反射 feat. 飛行弱者

ロディアスでポップに近いロック曲を目指して書きました。

前奏からクセのある構成となっていますが、飛行弱者様により完璧なギターを充てていただきました。この作品を通じて、「飛行弱者様に不可能はない」と勝手に信頼を寄せさせていただいております。

タイトルの「乱反射」という言葉は、歌詞にある「光は一筋しかないのに 白い傘に覆われてぼやけてしまうよ」の箇所を指しています。

 


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4. 花のように

本EPの中で一番最後にできた曲。

毎回、EPは6曲単位で制作しています。今回のEPの6作目も、セイメイ同様アップテンポのロック曲を書き始めていました。

しかし、他の5曲が全てしっかりとした構成のものばかりで、EPを通じた曲の「重さ」にメリハリがない気がして、上述の曲の制作は一旦ストップし、箸休め曲として本作を書き上げたものです。

本EPにおける唯一の2分台の曲、唯一のギターレスの曲として、いいフックになったと思います。

 


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5. エターナル・ラヴ feat. NAOYA

本EPの中では一番古い曲。

他媒体でも隠さずに明言していますが、GREEN DAYの「HOLIDAY」やAFIの「Miss Murder」のような、シャッフルビートに乗せて「ヘイッ!」と叫べる曲を創ってみたくて形にした作品です。ですので、仮タイトルは「Miss Holiday」でした(笑)

歌詞は、とあるアーティストのインタビューを踏まえて書いています。

このトラックは、完全打ち込みで制作していた原曲を、ギタリストNAOYA君の演奏によりリアレンジしてもらったものです。この2曲の比較を通じて、本物のギターの良さを十分堪能していただけると思います。

 


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6. 弓を鳴らす feat. 緋月ハルカ

かねてより、荘厳で神秘的な雰囲気のある壮大な曲を書きたいと思っており、ようやく実現できました。

教会での歌唱が似合いそうな曲に、「鳴弦の儀」という日本に古くから伝わる儀礼をテーマにした歌詞を乗せてみました。私の中での和洋折衷的な。

ギターは、緋月ハルカ様です。この曲のイメージを決定づける、重みのあるギターを演奏してくださいました。

 


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そして、今回の「ファッションショウ 創造盤」のジャケットがこちら。

ファッションショウ 創造盤

 

今回も、イラストレーターYHiRO君に描き下ろしていただきました。

前作の破壊盤との「対」な感じが、とても面白いと思います。「ファッション」のキーワードをもとに、本当に様々なコラージュが散りばめられていて、いつまでも見て楽しめる作品ではないでしょうか。

今回もまた、「最高傑作」です!!

 

7th EPも多くのギタリストの方、そしてイラストレーターの方々のお力をお借りし、今回の配信開始まで至ることができました。

携わってくださった皆様に感謝いたします。そして1人でも多くの方に、少しずつでもお聴きいただければ幸いです。

花のように

誰も彼も定められた時の中を生かされている
そこに意味を探しても実は何にも見つからない

太陽が出れば笑って 雨が降れば心傷み
強い風が吹けば折れないようにじっと耐える

 命を授かりし時に春が始まり
 夏になれば大人への階段を上る

生きている限り誰かに守られている 花のように
そして自分が誰かを守れたとき意味が生まれる

 

 峠を越え感じ始める秋の気配
 そして寒く静かな冬に眠りにつく

誰も彼も定められた時の中を生かされている
いつか来る枯れる日までは懸命に生きていきたい

咲き誇った花のように

 

 

 

銀色の星と青い月

疑わなかった白夜に陽が沈んで
「永遠」の難しさを知る

最上の愛情を以て
共に過ごしたものさえ俄に旅立つ

迎えの使者たちは記憶さえ連れて行く
けれど助けてくれた手の美しさは色褪せない

煌めく命の果てに紡がれていく言葉は
溢れる感情の波 留まることを知らずに
悔やめど戻れない軌道に身を委ねて

明け方の言い訳から解放され
新しい居場所が芽生える

僅か触れ始めた明日の眩しさに
背(せな)を向けても その光は届いている

銀色の星と青い月 アゲハ蝶が舞う夜に
消え行く炎を守って 最期まで惜しんでいた
未来に目を伏せて言い聞かせた「さよなら」

 


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セイメイ

何を理解して追いかけるのか
何を望まれて尽くすのか
日常に潜むエスコートに沿えば
いつの間にか名前を失って

もう戻れない船の上でも
櫂を漕ぐなら波に逆らう方を選ぶ

この場で声明を 心を揺さぶる舞を
黙っていたら仲間が見つからない

 

やさしい言葉で嘘をつく人
偉大な背を盾に見下す人
たったひとひらの木の葉を捕まえて
森を全て否定したがる人

過去をなぞって星と名づけて
天性の瞳を持つと嘯く人

その場で誓盟を 心を鼓舞する舞を
騙されないように生きるため 
守りたいものは静迷なき生命
透明な籠から今飛び出して

 

頭の上、背中の後ろ
そこで大切な全ては動いているから

 

この場で声明を 心を動かす舞を
こだまする共感を生み出して
守るべきものは清明な性命
陽炎すら揺らめかない明日を

 

 


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弓を鳴らす

「このままじゃ終われない」
秘めていた思いを
知らない世界の中で 打ち明けてくれた

瞳には映らない時の扉の向こうで
自然も人も悲劇を産むけど

今日はいつよりも新しい。
朝日を浴び笑顔のままで
見送れるように

弓を いつまでも穢れなき歩みを
続けてほしくて
霧雨が明けていく
弓を ただ弓を鳴らして

文字の表面に感情が滲んだり
目の前にいても伝わらなかったり
喜びも悲しみも再現できるならば
幸せで埋め尽くす時もあればいい

恐怖と闘うことは
あらゆるものを暗く染め上げてしまう
風から火を守るより
その風を断ち切りたい

弓を 誰よりも満ちたる歩みを 
刻んでほしくて
澄み渡る空に向け弓を
ただ弓を鳴らす

選ばれるか景色と化すか
その繰り返しの中
海の底でもがきながら
理想の調和を得た
芳しい未来願い
全てが音になる この静寂の中 ひとり

弓を
さらなる先を目指す歩みの
幸せを願って
鬣が逆立つような
弓をただ弓を鳴らして

 


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