1. ふわふわ
今まで、ギターを中心としたロック曲を作ってまいりましたが、ギタリストの皆さんの手を借りずに自分自身で音楽を作れるようになりたいと思うようになり始めた今回のEP。
その思いを象徴する作品となりましたので、一曲目に配置いたしました。
ロック曲ではない音を意識的に重ねていく内に、その音色から「ふわふわ」というキーワードを思いつき、そこをヒントに、確固たる「地元」を持たない自分自身を振り返りながら綴った歌詞となっています。
2. OH! ねぇ! feat. NAOYA
前作「デモンストレイトEP」に収録予定でしたが、全体のバランスを考え本作への収録となった「OH! ねぇ!」。
宮崎を中心に活躍するユニット「7030ナオミオ」のmionさんが私への提供曲として書き下ろして下さいました。
アカペラ歌唱でのデモ曲を初めて聴いた時に浮かんだオケのイメージをほぼ100%実現でき、個人的には会心の編曲ができたと自負しています。
ギターは、同じく「7030ナオミオ」からNAOYAくん。やはり、mionさんの作る曲にNAOYAくんのギターは親和性が高いようです。
3. ニュー・レトロ・ラブ
2019年8月11日(日)、勝手ながら私のホームと思っていた宮崎のライブハウス「New Retro Club」が全焼しました。
当たり前にあると思っていたものを失った喪失感は思いの外大きく、ただバンド活動お休み中の身として具体的なアクションを起こせるわけでもなく、行き場のない想いをこの曲に込めました。
安直なタイトル? それも愛の証です。
4. 御色直し feat. NAOYA
これまで、自分の中での勝負曲(懐かしい表現で言うところの「A面」曲)ばかりを書いてきたという自覚があったため、B面曲に位置づけられる作品に挑みたいと思い制作しました。
歌詞についても、これまでとは違うアプローチで書き進め、メッセージ性や深みではなく響きや雰囲気を重視。
デジタルとロックの融合という点で、ギタリストNAOYAくんの力をお借りしつつ、面白い作品に仕上がったと思っています。
5. ワラエバ
かねてより作ってみたかった感じの楽曲です。
オケがシンプルなだけに、いつも通りのテイストで歌詞を書くとメッセージ性が強く出過ぎてしまいそうだったので、言葉遊びのような作風に仕上げてみました。
新型コロナウイルス感染症拡大防止に向け、全世界が「STAY HOME」を頑張っていた時期に、少しでも皆さんに明るい気分になれれば、と思いYoutubeにて先行配信も行いました。
ぜひ大勢の方と一緒に歌ってみたい一曲です。
6. 僕が眠りについた後は
ある日、スローで優しいバラード曲を作る夢を見ました。その時の正確なメロディは覚えていませんでしたが、その感触が残っている内に形に残そうと思い、急いで作った一曲です。
自分の中にある(せめてもの)良心とフィクションの世界をリンクさせた歌詞となっております。タイトルは「遺言」でもよかったのですが、字面のインパクトが強過ぎたので、このタイトルに落ち着きました。
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曲順は、いつも悩みます。
音色の感じを軸に並べた、曲順の別案は…
- ニュー・レトロ・ラブ
- OH! ねぇ!
- 御色直し
- ふわふわ
- ワラエバ
- 僕が眠りについた後は
という流れでした。
こうすることで、電子的な音のないロック曲「ニュー・レトロ・ラブ」から始まり、2曲目・3曲目にかけて少しずつ電子音の比重が大きくなって、「ふわふわ」以降はついにギターの要素がなくなる。その転換という意味での「御色直し」…
これはこれでストーリー性のある曲順だったので、未だにこの曲順じゃなくてよかったのかどうか、迷いが残っています。
ただ、「ふわふわ」を作り始めたときに、「今までロック曲を多く作ってきた自分が、100%デジタルの曲を前奏もなくいきなり歌い始めるところからEPが幕開けする」というイメージを持ってしまったので、その思いを振り切ることができませんでした。
…という迷いを記録しておける、このライナーノーツの場があって良かったと思っています。
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さて、今回のEPのタイトル「C」は…
- 本作がソロとしてリリースする三作目(C=アルファベットの3文字目)のEPであること
- 「ニュー・レトロ・ラブ」にCを加えたら「ニュー・レトロ・クラブ」になること
- Change(脱ロックへの変化)
- Collaboration(mionさん、NAOYAくんとのコラボレーション)
- Clap(「ワラエバ」を、手を叩きながら皆で歌いたいという思い)
- Climax(「僕が眠りについた後は」で描いた人生のクライマックス)
…等、このEPのことを深く考えれば考えるほど、そこには「C」の字が関わってきていたので、思い切って「C」一文字にしました。
そして、カバーイラストは過去2作に引き続き、宮崎が誇るイラストレータ「YHiRO氏」が手掛けてくれました。
いつも、DIYな私のEPに懇親の芸術作品で応えてくれて、頭が上がりません。
今回の私からのリクエストは、「Cという一文字のEPタイトルにしたので、その印象を強く残せるよう中世彩色文字のようなCを作ってほしい」というものでした。
それに対し、期待を1000%上回る最高傑作が返ってきました。
それがこちらです。
点描画の極みともいえる細やかな仕事は圧巻ですし、色付けは、何をどうやったのかが想像つかないくらいにテクニカルで、かつ美しい仕上がりとなっています。
YHiRO自身からの解説は受けておりませんが、いくつもの顔が隠れている様子が、このアルバムのバラエティの幅、ひいては私自身の内なる多面性を表してくれている気もしますし、このアンモナイトのような形が、私の核を見せてくれている気もします。
様々な方々の応援を受けてリリースされた、3rd EP「C」。
ぜひ多くの方の目に、耳に、心に留まってほしいと思っています。