邦秋の、ギャラリー「個と場」

宮崎在住のランチタイムミュージシャン、邦秋(くにあき)の頭の中。アイデア備忘録・雑感・お役立ち情報から創作活動(音楽・歌詞・散文詩等)の展示・解説まで幅広く。関心事:DTM・音楽・ロゴ・デザイン・教育・APPLE・効率化他

20181217 目的に逆行する働き方改革と、生産性向上に向けた真の対策の方向性(案)

2019年4月、いわゆる「働き方改革」関連法が施行となり、日本の就業環境が大きく変わります。

この目的の一つとして取り上げられるのが、「労働生産性の向上」。

これは、OECDデータに基づく労働生産性の国際比較として、日本はOECD加盟 35 カ国中 20 位、主要先進 7 カ国では1970 年以降、最下位の状況が続いていること等を踏まえたものと考えられます。

 

(参考ウェブサイト)
労働生産性の国際比較 2017 年版(公益財団法人日本生産性本部)

 

それを踏まえ、この改革により、短い労働時間で従来通りの利益を生み出す、脱・日本人的な働き方を推進しようとしているのでしょう。

しかし、この改革は、日本人的な働き方をむしろ強調するような方向に走っていると感じます。なぜなら、この法制の意義を訴える誰もが「何時間働くか」にのみ焦点をあてて、「就業時間中にどれだけの成果をあげたか」に焦点を当てないからです。

厚生労働省が発行する資料「労働時間の適正な把握のために」においても、まず強調されるのは、「始業・終業時刻の確認及び記録」についてであり、その方法は、「使用者が、自ら現認することにより確認し、記録する」「タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録する」とあります。

また、労働時間の確認の客観的資料としては、パソコンのログイン時間等も有効であるとする説明もチラホラ見かけます。生産性の向上を訴えている割には、「その時間でどれだけの仕事をしたか」というのを確認する発想が一切ないのです。

これでは、労働者は、「就業場所にいること」自体が仕事であり、そこで働いた量や質は問わないことをただ強調しただけの改革となります。突き詰めれば、就業時間はダラダラと過ごし、残業を重ねることで時間外手当を発生させることを推進するようにも捉えられます。

本当に生産性を上げたいなら、一つ一つの仕事の質と量を確認できる仕組みができるよう努力すべきです。極端に言えば、その日掲げた目標(ノルマ)が達成されれば、就業時刻に関わらず帰宅してもよいという制度にする方がよろしいでしょう。

大学教育界においては、学習してきた記録を「見える化」して管理する電子ポートフォリオの仕組みの構築が進んでいます。この発想を参考にすれば、各職場>各部署>各労働者に求められる業務や目標を見える化し、それにはどの程度の時間がかかるか、どの程度の価値があるかを算出し、それらに対し日々どの程度取り組むことができたかを計っていくことこそ、生産性の向上に繋がると思うのです。

それができれば、人事評価の質の向上や在宅勤務等の推進にも繋がりそうな気がします。

 

理想論のようではありますし、課題も多い案件ではありますが、本気で取り組んでみたい分野です。