邦秋の、ギャラリー「個と場」

宮崎在住のランチタイムミュージシャン、邦秋(くにあき)の頭の中。アイデア備忘録・雑感・お役立ち情報から創作活動(音楽・歌詞・散文詩等)の展示・解説まで幅広く。関心事:DTM・音楽・ロゴ・デザイン・教育・APPLE・効率化他

20190913 長編推理ドラマの限界

先週の日曜日(R1.9/8)に最終回を迎えた、ドラマ「あなたの番です」。
その終わり方には賛否両論ありましたが、ネット上の評判を見ると、「否」の方が多い印象を受けます。

いくつかあった「否」の主張の中でも多く叫ばれていたのは、「全ての伏線が回収されると思っていたのに、スッキリしないどころか新たな謎を生んで終わってしまった」ことだったのではないでしょうか。

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あまりドラマを見ない私が最近見た作品と言えば、「カルテット」「3年A組-今から皆さんは、人質です-」、そして「あなたの番です」。
これらに共通するのは、1話完結ではない所謂「連続もの」だった、という点です。

毎回色々な伏線が張られ、次週も見ないと気が済まなくなる連続ものは、一度はまると一週間そのことが気になって仕方なくなります。

 

ただ、近年は視聴者による、特にツイッターでの推理合戦が過剰に加熱し、作者の意図を大きく上回る深読みが暴走し過ぎているように感じます。

しかもその深読みはドラマ内にとどまりません。例えば「あなたの番です 反撃編」では、番組ポスターの人物の手の開き方や目線などから考察を広げる方も少なからずいらっしゃいました。

純粋にドラマを楽しみたいという思いで推理するのが本筋なのでしょうが、最近は「自分は真実をわかっていた」ことを(意識的にか、無意識的にか)アピールしたいがために、独自の見解を必死に見つけて発信しているようにも見えてしまいます。

そうして皆が「我こそは」と推理合戦をして妄想を膨らませ過ぎれば、当初予定されていたどんなに素晴らしいクライマックスも、「なんだ、やっぱりそれか」と霞むことでしょう。もしくは、その推理を全て外そうと飛躍したエンディングにすると、「何の伏線もない唐突な展開は雑だ」等と評されるはずです。

 

視聴者の考察が盛り上がり過ぎる件については、「カルテット」での出来事を思い出します。

このドラマで、登場人物が確認した携帯電話の時刻がドラマの進行の順を追っていなかったり、ポスターの日付が前後したりしたことについて、「意図的に時間軸がずらされている」という見解が一時期のツイッター上で話題になりました。

それに対して、佐野亜裕美プロデューサーがドラマ放映期間中に、「単純なミス」であったことを陳謝しなければならない事態に。

 

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「カルテット」、「時間軸ずれてる?」考察に「単純ミス」と謝罪 ファンの反応は?(BuzzFeedNews)

 

 

深くドラマを見られるのはありがたいことなのでしょうが、少しのズレも許さない視聴者の姿勢は、一歩間違うとただの粗探しになりかねません。

もちろん、ミスがないことに越したことはありませんが、時間的・予算的にも様々な制約があるであろうドラマ制作業界にも限界はあるでしょう。

そんな状況に陥った昨今の状況においては、続き物の長編推理ドラマを作ることが怖くなってしまいそうです。